マリオ・バルガス=リョサ 緑の家

そういえば緑の家を読み終わった話はしてないね? じゃあ少ししよう。
バルガス=リョサコレに入っている短篇しか読んだことなかったのだけど、まぁこの読みにくい(つっても段落が長いとか、「」が使われていなくて句読点のみで改行も無く会話が一段落続いたりとかその程度なのだけど)短篇が(と言っても短篇としてなら疲れるほどではなく、誰がどの発言をしたのかわからないとかってのは良い効果を生んでいるとも思うけど)、そのまま長篇になっている。というかむしろ、さらに、時間軸が入り組んでいるからわかりにくくなっているのか。さらに人物もわかりにくいか(軍曹が何人かいたり(二人? もっと?)、あるひとが任務中は軍曹で、別の時には名前で呼ばれていたり(しかも後半まで読んでいかないとわからない(まぁそのぶん伏線のようになってはいて、あぁ、そこでそう繋がるのか的な面白さはある))、もしくは……コレはネタバレになるからやめるか)。
そんなわけで、理解しているという自信は全くない。忘れないうちにもう二回くらい読み返したいという思いと、疲れたからしばらくはいいやみたいな気持ちとが混ざり合うような読後感。特に序盤なんて気抜きまくって読んでるから重要な伏線がきっとあるんだろうなと思う。ほら、あそこで出てくるあのひと、連続した場面だけど時間はすっげぇ経ってたり戻ってたりするかもよ?(じゃあ読み返してみればいいんじゃね)。
結局、これはどういう話だったのか、説明が全くできない。ある街、というか地域を舞台にして、いくつかのエピソードが何十年かに渡って繰り広げられ、登場人物が一部重なっていたりする。街の話でもあるし、部族の話なのかもしれないし、彼の話でもあるだろうし、彼女の話でもあるだろうし、緑の家の話でもあるのだろう。て、何の説明にもなってないよ。
序盤は、こいつら何の話ししてんの? ていうか出てくる奴みんなおぼえないとダメなの? って感じなんだよね。そこがキツイ。あとは進むにつれて面白くなる。いや、面白いってのとは違うかもな。話が見えてくるのが楽しくなってくる感覚。隠されていないんだけど、無雑作過ぎて気付かなかったものを、いくつかのエピソードで段階的に気付かせてくれるというか。乗せられてるとは思いつつ乗っかってったほうが面白いんだからしょうがない。