中央公論社 日本の文学68 椎名麟三梅崎春生
100円。さて買ったは良いが梅崎はもちろん全部読んだことがあるので困る。ちなみに解説は本田秋五。そこそこ詳しいっぽい年表付き。椎名麟三のほうさえ読みそうにないから困る(「美しい女」は読んでないけど文庫あるからこれで読むことはなかろうしなぁ)。
椎名麟三

  • 「永遠なる序章」(中篇。どんな話か憶えてない)
  • 「美しい女」(長篇。と言っても永遠なる序章とあまり変わりない長さ)

梅崎春生

  • 「風宴」(戦前の作で、いわゆる学生時代の習作とされているもの。その割に大抵の文学全集に入っているのはたぶんこの作品が一番戦後派っぽいから)
  • 桜島」(言わずと知れた戦後デビュー作。よく現代文の教科書とかに載っている)
  • 「日の果て」(南島ものの代表作で映画化もされた)
  • 突堤にて」(これは市井ものには分類されないような気がするけど。これも一部は戦前に書かれたんじゃなかったっけかな)
  • 「ボロ屋の春秋」(直木賞受賞作。直木賞を取ったのは良かったんだか悪かったんだかなぁ。中期の寓話風短篇の手法を活かした市井ものの中篇)
  • 「幻化」(遺作。梅崎は色紙を求められて《人生幻化ニ似タリ》《人生似幻花 人生似幻化》と書いたこともある。そんなことを書いておいてこれを残して死んだりするから梅崎文学の総決算とかこのために人生を生きたとか言われることになる。だいたい梅崎の処女作を「風宴」としながら、「桜島」にはじまり「幻化」に終える生涯ってダブルスタンダードだろうが阿保か←行き場のない怒り)

「蜆」(外套をもらったり剥ぎ取られたり、電車から落ちたやつのリュックに蜆が入っていて闇で捌いて家計の助けになったよみたいな話。椎名麟三はこれを称賛しているね)も、「庭の眺め」(庭に馬が入ってきて草を喰いだしたりする話)も入っていないなんて逆に珍しい気がするが(普通「日の果て」の代わりにこっちの二篇が入っているような)、まぁまぁ無難な6篇。梅崎のことならまだまだ延々語れそうだが楽しいのは俺だけなのでこのへんで。


以下2冊105円で6冊。
辻邦生『背教者ユリアヌス』上// 中公文庫
辻というとなんかあっちが思い浮かびがちですが、それよりちょっと古いひと。そしてこれが代表作のはず。他には何だろ、『夏の砦』とかは良く見るけど。

貴志祐介『クリムゾンの迷宮』 角川ホラー文庫
別に何がどうしたわけでもないのだけど安かったので予定通りと言えば言えなくもない。ところで火星の迷宮ならクリムゾンじゃなくてマーズなのでは? うん別にどうでもいいけどね。

吉行淳之介『星と月は天の穴』 講談社文芸文庫
なんだっけ。何かで評論されていたようなおぼろげな記憶が。目次だけ見てネタにされている本を買って来て読むのは割と普通にやりますよね。問題は古本あさって探し回るので時間がかかること。どの本でネタにされていたのか思い出せないなんてこともしばしば。で、手に入れた頃にはどうでもよくなっているわけですよ。まぁまたそのうち読む気にもなるだろ。