失われた時を求めて、見出された時読了。そう、そうだね確かに、主人公が話者で作者という設定なのだから、これはまぎれもなくメタ小説であるわけで、おはなしのはじまりがあんな感じだったのだし、前巻で終わっていては尻切れだわ。
いろいろ話したいような気もするし、しかしこればっかりは読まんことにはなぁと思わずともないような感じもするし、かといって、そうかとすぐ読めるわけでもなし、どうしたものか。
とにかく言えることから言っていくか。
名前のある登場人物は、扱いがちっちゃくてもたいてい後でまた出てきます(出てこないやつの名前はX氏とかになっている)。
ただ実在する人物(王侯貴族であったりフランスではみんな知ってるんであろう名前やら、作家音楽家)の名前とごっちゃになってしまうのがややつらい。
でも主人公には名前がない。
「コンブレ」と「スワンの恋」とがだいぶ違うように、「花咲く乙女たち」と「ソドムとゴモラ」とではこれまたかなり違いがあって、「見出される時」はそのどれともやっぱり違う面白さがあるように思う。個人的には、スワンの恋あたりでは人名が憶え切れず辟易してしまった(たぶんある程度頭に名前が入ってる今読めばまた違うのだろうけど)し、ソドムとゴモラでは人物(特にシャルリュス氏)の捉えどころがわからず困った。
これが音楽なら、とりあえず、ながら聴きでもいいから一通り聴いて、気に入ったところをとっかかりにしていけば芋づる式に楽しめる、なんて言うところだが、さすがにこれだけの長さを流し読んで適当に再読しろ、なんて言われたら読みたくなくなる気持ちもわかるわけで、やっぱそのへんが難しい。まぁ本なんてのは読んでいればそのうち読み終わるのだから、多少でも興味がわいたらタイミングを逸せず読み始めてしまえば良いと思う。こんな大部の小説を読もうという奇特な人間が、時間を損したと思うことは、たぶんない。
ちなみに一巻を読み終えたのは一年以上前のことで、読み始めたのがいつなのか憶えてもいない。二巻を読み終えたのは初夏というか梅雨というかそのへんの時期で、夏のうちに三巻も終え、秋か残暑かという頃には四巻を片付け、今月立て続けに七巻まで、と我ながら意味のわからないペース配分である。普通なら暑い寒いとなると物事に集中できないものだが、おそらく、次に何を読むのか考えるのも面倒くさい→大長編をぼんやり読みふける、という感じになっているのだろうと思われる。閲覧者様方におかれましても好きなように読まれるとよろしいのではないかと。
あ、秋は春秋左氏伝にかかり切りだったせいで読んでなかったのか(余談)。
うーん、でも全部を把握し切れているとは露ほども思えないのでもう一回読みたい気もするなぁ。また別の訳で。まとめて3000円くらいでどっかに落ちてないものかしらねぇ。