カズオ・イシグロ『わたしを離さないで』 土屋政雄訳 ハヤカワepi文庫
誰かがどこかで大プッシュしていたカズオイシグロの文庫新刊らしきものが早々と新古書店に並んでいたので拾い上げ。日の名残りしか読んだことはないが、技巧派と言われれば確かにそんな感じの気がしないでもない作風だったか。他の本もあらかた棚に揃っていたようだったので面白ければまた古書店行ってこようと思っていたら一ヶ月くらい過ぎた。値札も剥がしてねぇ。と書いてから一週間ほど経ちまして読みました(それからさらに三週間経ったけどまだエントリになっていない不思議)。おお、面白い。でもこれは予備知識なしで読み始めたほうが多分面白い、というかどこからネタバレなんだかがバラされたひとによって違いそうでうかつなことが言えない。解説者ばかりか訳者までもが後書きでネタバレどうしようって話題を使っていて、そこはそれで面白かった。これは地味にSFなのかなぁ。320円。

アンドレ・ブルトン『狂気の愛』 海老坂武訳 光文社古典新訳文庫
あれ……面白くない……。期待値が高すぎたのかな? ところで期待値とは確率論で言うところによるとリスクに対してのリターンの平均がどうこうって話なので文章的に言って間違っているようだが、まぁ一種の換喩……たぶん換喩、だよね、換称じゃなく。まぁ内容をろくに調べず本を買い漁るのはギャンブルみたいなものだと言えばそうだが、もたらされる満足を数値化できないのだから比喩以上にはなりえないか。ちなみに換喩というのは(略)。ナジャと同じく自身の体験を元に描かれた小説なのだが、もともとばらばらに発表されたものをまとめたためなのか、どうも全体の流れがよくないように感じる。それはそれとしてブルトンってジャコメッティと友人だったのね。あの細い像はほとんど戦後で、戦前はシュルレアリストと親交が……ふーん(今調べた)。230円。

クライスト『ハイルブロンの少女ケートヒェン』 手塚富雄訳 岩波文庫
完全に訳者で。作品内容を知らないのはもちろん、作者も聞いたことがあるようなないような程度。本を開いた感じでは戯曲らしい。旧字旧かな(と書いてしまう世代なのだけど、正字って書いた方が格好良いよね)。200円。なんか覚え書きっぽい感じになってきた。


以下100円。
コナン・ドイル『バスカヴィル家の犬』 延原謙訳 新潮文庫
ホームズものの最高傑作とされていたりする有名作。ホームズの露出率が低く、シリーズをユーモア小説として読んでいる、シャーロッキアンに怒られそうな人間からするとやや不満。というか推理ものとしてもどうなんだろう。推理……してたっけ……。あ、ちゃんと解決はします! 他のホームズものよりもドイルの幻想小説ライクな独特の雰囲気はあって、好まれるのはそのへんが一因なのかなと思ったり。怪奇短篇もちょっと読みたいんだよなぁ。幽霊船の話とか。

山田正紀『妖鳥』 幻冬舎文庫
読もうと思いつつなんでか読んでいない作家。このひとも法月綸太郎解説本で名前を知ったん(ではないにしろ憶えたのはたぶんそう)ではなかったか。

井上光晴『死者の時』 集英社文庫
確保。確保はするけど、読むのでしょうか、ね。