P・K・ディック「ウォー・ヴェテラン」仁賀克維編訳 現代教養文庫
ディックは小説が下手なわけでもアイディアが面白くないわけでもないのに作品はそれほど……という謎作家。たぶん真っ直ぐに書いている感じが気に食わないんだと思うが、まぁもう数冊は読むと思う。生きてるうちに。ちなみに読了。面白かったのは……表題作かな。
火星人・金星人と共存する地球。公園で、かつての戦場での活躍を語る年寄り。宇宙戦争で艦隊が落とされる様を語る彼の思い出は、数年後に起きる戦争の内容だった。ある医者がそれに気付き……。
自分でストーリー説明しようとすると面白くもなさそうなのは何故なんでしょうね?


で、次はG・ヴェルガ「カヴァレリーア・ルスティカーナ 他十一篇」河島英昭訳 岩波文庫
訳者を見ただけでイタリア文学だな、とわかるひともいるでしょう。最初の表題作だけ読んだ感じでは、イタリア文学ぽい感じはそれほどなくて(と言ったってダンテの他にはネオレアリズモ以降の作品しか読んでないんだから当てにはならないわけだけど)、古典らしい簡潔さというか、緻密なディテールでなくて全体の感じを漂わせて語るような感じ。戦争に行ってる間に恋人は商人の許婚になっていて、騎士が隣の家の娘に声をかけているのを見て元恋人は嫉妬して、出稼ぎに行ってた商人は帰ってきて怒って……というありがちな話なんだけども、そこは語り口の妙。そう考えるとイタリア文学は内容やなんかより語り口の方が重要で、これも充分イタリア文学してんのかなぁという気もしてきた。一気に読まず、少しずついく予定(と言いつつ二篇目を読み始める)。