今日はジーン・ウルフ「調停者の鉤爪」ディケンズ「デイヴィッド・コパフィールド(二)」
「調停者の鉤爪」は"新しい太陽の書"の2巻。数週間前に読んだ1巻の終わりの方を憶えていないのが悲しい。でも楽しめているので問題ない。
パフィールドのほうは、ミスタ・ディックが良いキャラクタだなと思っていたのに別居することになって残念である。あと(一)の終わりに付いてた解説でネタバレされて非常にヤル気を失っています。ていうか自伝的長編というのは一般に流布しているけど嘘なんですね。どの程度フィクションかは作家の伝記的事項について詳しくないのでよくわからないけど、印象から言えば安部公房「けものたちは故郷をめざす」程度で、体験を元にしたフィクションみたい。
いろいろなところで言われていることだから今さらではあるけど、ディケンズは(特に人物を描く上で)事実をそのまま書くことをほとんどしないんで(というかできないのかもしれないけど)、戯画化されたような奴ばっかり出てきてそこが面白いとこでも面白くないところでもある。日本の作家を多少なり読んでいると自伝的作品ていうのはそれこそ腐るほどあって、夏目漱石「道草」とか坂口安吾のこのへんの作品とか、あるいは太宰にもそういうのはたくさんあるんだけど、比較するまでもなく人物描写が出来の悪いマンガかパターン化したドラマかいかにも残りそうにない映画かという感じなんですよ。しかし自伝的作品ではないと、実は違うんだと、少なくともそう思って読めば、読めるレヴェルというか、子供が読むような話だなぁと思いながら読める。って俺は何様ですか?
まぁそれにしては文章がかったるいんだけどねぇ。まだまだ先は長い……。