スティーヴン・キング「死のロングウォーク」

参加者は優勝者以外みんな死ぬ、というクソゲームに参加する馬鹿どもの話。というか動機を描かなきゃ説得力もクソもねぇよ。やっぱキングで傑作らしいのはクージョくらいなのかな(まぁあれも最後がどうかと思う)。だいたい中期だか後期以降だか知らんが何でも神が出てくりゃいいのかお前それで。それがホントに面白いか*1
すみません取り乱しました。仕切りなおします。
時速四マイル以上(4マイル=6.437376キロメートルってグーグル先生が言ってた)の速度で歩き続ける。ルールは(一応)これだけ。それより遅くなると警告を受け、30秒以内にまた速度を戻さなければ二度目、三度目、最後の警告。つまり二分止まってるとライフルでばーん。
ルールの時点でまぁアホだと思うのだが、(少年が主人公であることからもわかる通り)友情物語だなんて、もう手に負えないアホである。いいかロングウォークってもんはもっと殺伐としているべきなんだよ。目の前歩いてる奴がいつ死んでもおかしくない。歩くか撃たれるか、そんな雰囲気じゃねぇとダメなんじゃねぇのか。女子供はすっこんでろ。で、参加できたかと思ったら、隣の奴が優勝したらどうするとか訊いてくるんです。そこでまたぶち切れですよ。あのな、生き残るなんてきょうびはやんねーんだよ。ボケが。得意げな顔してなにが、優勝したら、だよ。お前ほんとに優勝したいのかと問いたい。問い詰めたい。小一時間問い詰めたい。優勝って言いたいだけちゃうんかと。
すいません取り乱しました。
某大型掲示板ではバトロワみたいな小説ありませんか、という質問に対してクリムゾンの迷宮とこれが挙がるのですが、それなら内容はともかくとりあえず設定は魅力的なので読んでみよう、と思っていたのです。しかし天下のスティーヴン・キングがこのような駄作では……。まぁスティーヴン・キングはそれしか知らないうちは面白いんだけどね。うん。面白かった、と思う。キャリーとか(今の今までキャシーだと思ってたから、実はタイトルもおぼえ損なうくらい面白くないのかもしれない)。ダーク・ハーフとか(てめぇはほんとメタが好きですね←たぶん「神としての作者」の解体を、作品内で、というか外部からの批評というカタチを取らずにやっているからじゃないですかね←あぁそうですか←思い付きです)。

*1:俺の古い頭から言わせてもらうと、やっぱり作者というのはほぼ神なんですよね(テクスト論における「作者は死んだ」って標語はニーチェの(念のために、ほんとうに念のためであってここを読んでいるひとを馬鹿にしているわけじゃあないんですよ、と念を入れておきつつ、念のために書いておくと「神は死んだ」の)もじりなわけでしょう? 書いていた時点ではそこに物語を創る神として作者がいたのは創世よりはるかに明らかなことであって、ダールの短篇(「偉大なる自動文章製造機」)なんかのように機械が物語まで作れるようにもまだなってないだろう、と)。まぁそれは扱ってる作品がエンタメ系であるからですけど(葛西善蔵id:zenza:20060524のあたりでは俺もやりたい放題言ったわけなんで)。そういう状態で「神がどうこうした」、ってのは俺からすれば「作者が何とかした」んじゃんとしか思えない、というわけ。