通りすがりのブクオフ

急かされ急かされなんとか文庫だけ一通り流し見た。前にも一度だけ行ったことがあるはずだが、行きなれない本屋は配置を把握するのに手間取るので一見では漏れが心配されるところであるのである。
『ちくま日本文学全集 深沢七郎』
驚くべきことに「楢山節考」が入ってないぜ。これは露伴集に「五重塔」が入ってなかったのに匹敵する驚きである。しかし「東京のプリンスたち」は収録されている。ちくま日本文学全集、これで欲しかったのは大体手に入れたのかな。あとは見つけたら読んでみたい、というくらいのものが数冊あるが。手持ち60冊中35冊かね。過半数あればそりゃまぁ充分じゃないかと俺も思いますわ。550円。
芥川龍之介『侏儒の言葉 文芸的な、余りに文芸的な』岩波文庫
「しゅじゅ(←何故か変換できない)の言葉」のほうは持っているのだが、「文芸的な〜」が読んでみたかったので。いわゆる芥川晩年の、谷崎との論争の発端とその続きですね。アナトール・フランス『エピクロスの園』の影響を受けて書いた、という「侏儒の言葉」ももう一度再読しておきたかったし、ちょうどいいようなものである。300円。
マルセル・エーメ『猫が耳のうしろをなでるとき』 岸田今日子・浅輪和子訳 ちくま文庫
傑作短篇集を以前読んだフランスの作家。絶版ぽいのが落ちていたので拾ってくる。300円。どうでもいいが仏語知識皆無の俺にはMarcel Aym´eというのが名前であると言われても信用できかねる。
小林泰三『家に棲むもの』角川ホラー文庫
和製ホラーの中堅? とにかく怖いと評判なのだが100円で見つからず、色々迷った末その他の事情もあいまってこれとなった。実は『眼を擦る女』が欲しかったのだがなかった。300円。


以下105円。
水村美苗『本格小説』上/ 新潮文庫 これだけでもわざわざ買い物に入った価値はあったと思わずともない。まだ一年経ってないのに100円落ち(しかもことさら汚いわけでもない)なんて文学受難も果てしないですなぁ。古本屋で在庫ダブつくくらい売れているのだとしたら、まだ良いほうか。
阿佐田哲也『新麻雀放浪記』 文春文庫 そこそこきれいだったので確保。
栗本慎一郎『東京の血は、どおーんと騒ぐ』 角川文庫 無意識のうちに確保。
ニーチェ『善悪の彼岸』 木場深定訳 岩波文庫 もう俺はきっと一生かかってもニーチェ全集(ちくま学芸文庫)を余裕で買えるほどの金持ちにはなれないので100円で確保。
ウィリアム・ギブスン『ニューロマンサー』 黒丸尚訳 ハヤカワ文庫SF サイバーパンク。どうやら一作目。そして俺が二作目だと思っていたのはどうやら短篇集らしい。なるほど。
ダシール・ハメット『マルタの鷹』 村上啓夫訳 創元推理文庫 言わずと知れた私立探偵サム・スペードの代表作にしてハードボイルドの古典。