11月のお買いもの補遺。

スピノザ『エチカ』上/ 畠中尚志訳 岩波文庫
ウィトゲンシュタインスピノザが結構お好きだったらしいですよ。ライプニッツあたりも読みたいのだが古本で哲学本を集めるのは無理があるような気がしてならない。まぁその方面に強い本屋を探せばいいのだろうけど。エディションを選り好みしなければ帯カヴァーの岩波文庫がいろいろあるけど、安く探すと帯どころか丸裸で日に焼けていて一見して何の本かわからなかったりするのがつらいところ。ていうか、ただでさえ読まないのだから、よほど読みたいと思って買わなければ買ったところで山に埋もれて終了のような。上下で500円。

『チェーホフ短篇集』 原卓也訳 福武文庫
ともしび 六号室 すぐり 恋について 可愛い女 犬を連れた奥さん
の六篇。チェーホフは読んでもすぐ忘れちゃうわ。桜の園って引っ越しの話だよね? じゃあかもめは? という感じ(まぁ脳が腐ってるからしょうがないとはいえ……)。ガルシンの絶賛により認められたと知識で知ってはいるのだが、これに入っている初期の傑作(らしい)「ともしび」でさえガルシンが死んだ年にかかれたもの。具体的にどのあたりの短篇を褒めたんでしょうかね(まぁ別にそれがわかったからといって何がどうというわけでもない)。300円。

魯迅『野草』 竹内好訳 岩波文庫
130円。故郷ってさ短篇がさあるけどさ、あれって俺最初に読んだのはたぶん中学か高校の現代文だと思うんだけどさ、あれよりだったらさ、吶喊の序文のほうが共感を呼びやすいよね。まぁ中国政府筋から待ったがかかるんだろうけど。まぁそんなこんな(故郷は吶喊のほうに入っているからね)。こちらは100ページ強の短文集。詩・エッセイ・小説21篇入り混じってるらしい。魯迅自体は難しくていやなんだけど、ちょっと興味を持ってしまったし迷うほど高価なわけでもなく訳者は定評ある人物で買い逃すと岩波はいつ重版するんだか不明というわけで、購入。ちくまの魯迅文集買う予定もないし。


以下105円とか100円とか。
フロベール『サランボオ』上/ 神部孝訳 角川文庫
リバイバル復刊の金色。とりあえず確保。感情教育のほうが読みたいんだけど買い逃したままなんだよね。旧字旧仮名で印刷がいかにもな植字ふう。いつ読むんだろう?

アントニイ・バークリー『毒入りチョコレート事件』 高橋泰邦訳 創元推理文庫
傑作と言われ続けて名前は知っているのだがやっと見つけて購入。何人もが推理しあう展開は好きなので楽しめるかなぁと思う。

佐藤亜紀『バルタザールの遍歴』 文春文庫
読み始めたとたんシャム双子ではないことがわかって放置。どうも文章が肌に合わない予感もする。ファンタジーノベル大賞とのことだが、ファンタジーではなくねこれ? 別に異世界ファンタジーを求めているわけではないのだけど、これから錬金術師とか魔術教団とか出てくるの? ジキル博士とハイド氏なんてファンタジーとは認めないよ。いや、待てよ。あれはファンタジーだったわ。ということは二重人格はファンタジーということで。

中村恵里加『ダブルブリッドV』 電撃文庫
やっと女の子出てきた、と思ったら子供のちんぴらだった! という衝撃の巻(10歳ヘヴィースモーカー)。読み方が適当過ぎやしないか俺。京都へ行ったりする。人間がアヤカシを殺す武器の存在とかについて色々。4巻最後でのアレが暴走(じゃないけど)したりして事態は収束。2巻の吸血鬼さんが再登場しています(ついでにそのうち再登場するよ予告までしているが、かかわり合いになりたくないとも言っているので、出てきても出てこなくても良いという何だろうな伏線)。
VI
登場人物がそろそろ揃ってきたなというところでがっつり殺されモード。もう死ぬわ死ぬわ。と思ってたら実は重傷者が多くて思ったよりたくさん助かってた。というか全然死んでなかった。しかし展開的にはかなりハッピーエンドが見えない方向へ転がっているような気がしてくる。これが噂のアレか……。
VII
登場人物のやる気のなさがすごい。なんともいえない。喋る鳥がこのへんからひとりで元気。他はみんな軽く鬱病
VIII
前作で死んだキャラクタ追悼巻。ショックでみんなちょっとずつおかしい。みんな鬱病。でも鳥だけは良く喋る。戦闘では何の役にも立たない。さすが鳥。
IX
プロローグ/エピローグは両方にあるが、8巻とは上下巻の関係(なんせ六章から始まる)。頑張ればハッピーエンドも見えなくはないかなぁ。伏線は色々あるものの、後からどうにでもなりそうなものばかりで展開予想は難しい。

大西巨人『神聖喜劇』第三巻 光文社文庫
やっと2冊目。この調子だと全部揃うのは……三年位後だが、どうせ読まないのでどうでも良い。そういえば青年の環も読んでないどころか読み始める気配すらないしなぁ。

サローヤン『ヒューマン・コメディ』 関汀子訳 ちくま文庫
『ワン・デイ・イン・ニューヨーク』 今江祥智訳 新潮文庫
サローヤン読んだことないのよね。短篇をたくさん書いているようなので気になってはいたのだけど。とにかくパパとかママとかベイビーとかいうのは食指が動かないので、このへんから攻めることに。ワンデイのほうは自伝的長篇であることに気付くが、どうせあらかた読むかほとんど全く読まないかのどちらかなので気にしない。

西澤保彦『完全無欠の名探偵』 講談社文庫
「彼が短いあいづちを打つだけで、人々が勝手に記憶の糸を辿り、隠された意外な真相へと導かれる」……ということで、興味を引かれて購入。

藤枝静男『田紳有楽 空気頭』 講談社文芸文庫
2ページだけ読んだが確かに凄いぞこれは……。晩年の室生犀星も淡々と異常だったが、ここまでではなかった。これが昭和49年か……箱男がその前年か。

ネクラーソフ『恋と詩と最後の唄』 大原恒一訳 邑書林
まぁ100円だから!(一種の現実逃避)。でもロシア文学は一通り触っておきたいので。ロシヤは誰に住みよいかのひとです。デビュー頃から晩年までの詩、代表的なものを集めているのかな。

V・E・フランクル『夜と霧』 霜山徳爾訳 みすず書房
表紙が心霊写真らしい。詳しくは知らない。