アンドレ・ジイド『法王庁の抜け穴』

ジイドだかジッドだかよくわかりませんだいたい伸ばす音と促音って似ても似つかねーじゃねーか! でおなじみのフランスの作家。フランス文学のメジャーどこ(スタンダールとかあのへん)が嫌いで、シュルレアリスム宣言は面白いからフランスの作家は理論家だけど実作がダメな子達なんだなと早合点し(その割に溶ける魚も結構好きなんだけど)ほとんどの作家についても触れることをせずに長い時を送ってきた俺がフランス文学おもしれーと本格的に思い始めたのはたぶんアナトール・フランスのおかげであるのだがそれ以後読んだ作家にももっと早くから読んでおけばよかったと後悔した作家はいくらかいる。ジイドもそのひとり。
絶版多いから贋金(“つくり”だったり“つかい”だったりタイトル検索がややこしい)あたりの主要どころかメインじゃねーのかっつー作品が手に入らないのが泣けるね。
全五章から成る作品なんだけど、第一章からほとんどジョークかと思うようなストーリ展開で、伏線に次ぐ伏線と段々それが絡んでくる抱腹絶倒の第五章まで飽きさせない。普通、「偶然→ありえないような偶然→奇跡」というふうに展開していくのが、逆に第一章の奇跡から始まっているのは読んだ後になって気付いた。粋というか何というか心にくい感じさえする。だって普通に小説うまいだけじゃなく、ちょっとひねくれたことまでしちゃうんだぜ。
こうなるといよいよ贋金つくり読んでみたいな……。