冬目景 幻影博覧会 1 バーズコミックス
やっと気付いたんだけど、このひとの作品ってドラマ的なものを求めているひとには多分向かないんですよね。坦々としていて盛り上がりなんてあったもんじゃない(別に必要ではないのだ)。上手くいけばベタな展開が起こらない良い作品になるのだろうけど、推理もの(あ、この作品は数話で一事件の推理ものなのね)では事件→解決のパターンがどうしても発生せざるを得ないわけで、そこにトリヴィアリズム(これがほんと無駄でびっくりする)とか出生の謎みたいなものとかを持って来られてもどうにもならない。
羊のうたが成功しているのは、坦々としているぶん病状の悪化していくさまが恐ろしく感じられる、というのがあったのだろうか(でも最後は肩透かしですよね)。あれも構図はドラマティックなんだけど(三角関係にしろ病気にしろ)それほど生かせている感じはないし、話半ばとかで登場する看護士(だっけ? 受付のおねーさん?)など、いなくてもよくね? 的なキャラクタがいたり、話自体は好きなんだけど、そんな安易な終わり方でいいんだ? という思いもあったりなかったりする(クエッションマーク多過ぎですよ)。
で、上の文章を書いてから数時間メシ食ったりなんだりしていたので何を言いたいのかさっぱりわからなくなったのだが(俺がわからないのだから読んでいる人間は災難である)、イエスタデイをうたってなんかは面白いわけですよ。展開としてはベタなの。メガネっ娘がメガネ外したら美人とかさ。三角になったり四角になったりさらに女が増えたり男も増えたり泊めて下さいとか外国に行くんだとかもう何なんだお前らと(多少なりとも意表を突くのは鴉くらいじゃないかと)思うわけだけど、坦々としてあざとさがないというか、結構面白く読めてしまう。そもそも坦々としすぎていて三角とか四角とか気づかねぇというか思わねぇよというか忘れる(これは羊のうたのほうにしてもそうかも)。そしてたまにふと思い出すと、ドラマツルギーに欠陥があるんじゃねぇのかしらということに思い至るわけです。が、そろそろ飽きてきたので終わり。
105円。