奥泉光『鳥類学者のファンタジア』

妙な話のひとことで切り捨てるのもどうかと思うが、確実なのは長すぎるってことですかね話が。さてどこまでなら書いてもネタバレにならないのかな……。
ジャズピアニストのフォギーこと霧子こと池永希梨子は白昼夢にあらわれた人物の言葉を調べていくうち、それが自分の祖母にしてニックネームと本名の由来ともなったもうひとりの霧子であるという確信を深めていく。一方大戦期のドイツ、曾根崎霧子はギュンター・シュルツ作曲「ピアノのためのソナタ」を、ナチス政権下での魔術集団存続をかけて弾くことになっていた……。帯にも裏にも書いてあるんでアレですがタイムスリップすることになってます。原理については『吾輩は猫である』殺人事件に詳しいですが、まぁデタラメであるとも言えますかね。
読み終わってみるとノヴァーリスの引用の焼き直しとなっているなぁという印象。彼らがタイムスリップしたんだろうが寝てたんだろうがどっちでもいいんですが、細かいところでノヴァーリスのが面白かったかなぁと思う(無言電話と子供の頃オルゴールをくれたひとをてんびんにかけて)。というかね長いんだよ。中だるみとかすんなよ。単行本にまとめるときに削れよ。と思いました。
テーマ曲フォギーズムードが作者のサイトで聴けるってのは面白いよね。フルートは上手くもないけど率先してメディアミックスできるってのは楽しそう。