川上弘美『ニシノユキヒコの恋と冒険』

たらしの西野さんの女性遍歴のその一部。川上弘美といえば、日常生活の中に異物が侵入してくるさまを描かせれば当代随一の作家であるが(本当は現代作家なんてろくに知らない)、なんかよくわからない神様人魚や熊でなしに、たらし。たぶんこれは妖怪。西野さんの目に留まったが最後みんな篭絡。もうたらしとかの次元じゃない。とり憑かれているとしか言いようがない。逃げて女のひとたちー! 西野さんはひとの皮をかぶった妖怪よー!
ということで(何事もなかったように前置きは忘れ去る)、『ニシノユキヒコの恋と冒険』ですが、ニシノさんを相手役にした(つまりヒロインとっかえひっかえである)連作短編となっております。各短編詳しく見ていくとネタバレになるし、何より面倒なのでそのへん略(ネタがバレて困るものでもないが)。
川上弘美の小説の随所に隠すように織り込まれているエロっぽさが苦手だったのだが、今回はたらしの話なのでそのへんが割とあけすけに。おかげで読みやすい。でもやっぱり何かが物足りない。やっぱりもっと妖怪っぽい妖怪が見たい。


なんだろうこの小学生の感想文みたいなのは。やっぱり俺には雑記しか書けないのだろうか……。やっぱり俺は永遠のツンドカーなんだろうか……。