奥泉光『プラトン学園』 講談社文庫

400円。面白いと絶賛するほどでも、わざわざ悪いところを探してくるほどでもない大変びみょーな作品。孤島の学園に赴任してきた新任教師が、前任者の死の謎や色恋や学園の秘密をどうこうする話のような気もするが、そうでもないような気もしないでもない。学園のパソコンからアクセスできるネットワークソフトでは学園がCGで再現されていて、奥泉光なので当然ソフト内仮想現実での行動が外にも影響を及ぼすわけなんですが、そこに説明がついちゃうというのがこの小説の凄いところでね(ひどい)。でも話自体にオチはない。ほめるとかけなすとかでなく、そういう小説だった、という小説。

原りょう『愚か者死すべし』 ハヤカワ文庫JA

300円。まぁ次作が出ていないのはこの際置いておくとして、相変わらずひねくれた探偵が推理らしい推理もせず黒幕や真相へたどり着いたり看破したりする安定した面白さ。りょうの字は文字化けしますね。


以下100円。
ポオ『黄金虫 アッシャー家の崩壊 他九篇』 八木敏雄訳 岩波文庫

ジーアのためだけに購入。モレラもベレニスもはいってないなんて! デュパンもの、早すぎた埋葬、メイルシュトローム、黒猫なんかも入っていない。まぁポオは一冊でおさめるには有名短篇が多いんですねたぶん。て、ああ、もう一冊出てんのか岩波から。そりゃそうよね。黄金虫ってそんなタイトルにするほど良い短篇だったっけ? といつも思う。ので、そのへんも再読がてら見きわめたいと思います。

『ギャスケル短篇集』 松岡光治訳 岩波文庫
割に最近のだな、と表紙を見て思った。別段深い理由もなく購入。女性作家らしい。ディケンズと親交があったようで、つまりそのへんの時代のひと。キリスト教の教えと愛に満ち溢れた短篇八篇(うち四篇初訳)。と言うとつまらなそうで、最初の一篇を読んだ時はハズレかなとも思ったんですが、これがなかなか。ヘンリー・ジェイムズ「ねじの回転」に影響をあたえたというホラーがあったり、母子家庭で母親を転地療養に送り出し兄妹五人で奮闘する話であったり、昔の恋仇に命を救われる話があり、奉公先で誰のものとも知れない子を身ごもり追い出された娘を探す年老いた母親の話やら、幸せに暮らしていた夫婦が一つの窃盗事件から夫の隠された秘密が明らかになるというものまで、なかなかヴァラエティに富んでいてさくさく読めた。

古井由吉『白髪の唄』 新潮文庫
見かけないタイトルだなぁと思って買ってくると絶版だったというあれ。毎日芸術賞受賞らしい。まいにちげいじゅつしょうとは聞き慣れない賞であることだなぁと思い調べてみたらば、読んだことのある作家さえぽつぽつとしかおらず、唯一谷崎潤一郎『瘋癲老人日記』のみ既読という、これは、あの、あれだね、僕は自分ではそこそこ本を読んでいるつもりだったけど、井の中に点で丼だけど蛙はそんなことも知らないとか何とか。あ、平野謙の文藝時評はちょっと読んだことがあるな。

ワイルド『サロメ ウィンダミア卿夫人の扇』 西村孝次訳 新潮文庫

持っていなかったので。戯曲集。

老舎『猫城記』 稲葉昭二訳 サンリオSF文庫
わーサンリオSF文庫だーと思って。現代中国SFてどんなんよ。