『SFマガジン 2008年10月号』 早川書房
ジーン・ウルフ特集。いや、買い逃したので手に入るまいと思っていたのだが、ハヤカワ・オンラインで余裕でした。5000円とか足元見た値段で売ってるやつらは流石だと思います。余談だがハヤカワオンラインからの荷物は伝票手書きでした。まぁ古書店も結構宛名手書きだったりするから本屋的にはスタンダードなのかもしれん。ジーン・ウルフの短篇2本エッセイ2本、訳者による解説と外伝的続篇の紹介、解説者による解説の続き的エッセイ、編集部による各作のあらすじ、人名地名辞典で、特集にほぼ雑誌の三分の一が使われている。読み逃したら損だってほど飛びぬけて面白いものではないか。索引に使えそうな辞典が便利な気がする。あとは某書店でベストセラートップ5入りしていたアンブロークンアローが連載中だったのがタイムスリップ気味な面白さであったか。中途半端な部分だけ読んでも結構面白かったが、クライマックスちょい前あたりではないかと思われるので面白いのは当然なのかも。

ロード・ダンセイニ『二壜の調味料』 小林晋訳 ハヤカワ・ポケット・ミステリ

で、ハヤカワオンラインで送料無料にするにはSFマガジン一冊では足りないので、もう一冊何を買おうかかれこれ数ヶ月悩んだ挙句、ポケミスが本屋のどの辺に置いてあるのかもわからない俺は、出ていることさえも知らなかったダンセイニの短篇集をアマゾンからのオススメで知り、これだ! ってことで注文(したのがアマゾンではなくてハヤカワオンラインなのがこの話の面白いところでね……)。面白い(さっきの話が面白いという自画自賛ではなくてこの本がってことでね……)。ダンセイニ卿と言ったらラヴクラフトトールキンに影響を与えた幻想小説の名手というイメィジが強いので、量・質ともにこれだけのミステリを描いているとは驚き。いわゆる本格ではないし、現在では実現不能ということになっているはずのトリックがあったりするのはご愛敬。推理ものスリラーサスペンス系犯罪小説ピカレスクっぽいの推理小説風ファンタジーと色々ですけど、軽妙闊達な語り口で、まさに奇妙な後味を残してくれる。全26作のうちタイトル作以下9篇は探偵役と書き手のコンビによるシリーズもの、これの二作目以降の書き出しが、なんだかツボにはまってしまってたまんない感じだった。